歯医者と妊娠
つい先日のこと。右奥歯が痛む。浮くような痛み。
ご存知の方も多いかとは思うが、妊娠中は口腔の唾液のバランスがかわり、虫歯になりやすい。
そのため、毎回のように歯がなんとなくムズ痒くなる。
でも、出来れば出産前に歯医者に行きたくなかった。
それは、6年前に妊娠中に歯医者に行って、苦い思いをしたから。。。
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当時、長男を妊娠中だった私は、今と同じくらい、確か妊娠6ヶ月だった。真夏の8月のある日、店の休憩中にのど飴をなめていたら、急激に奥歯にしみた。
その痛いことといったら!飴の有害成分(と思った)がふんだんに含まれた唾液が、奥歯の全神経に行き渡り、暴れまわってる。
何もできない、この世の終わりかと思う痛みだった。
そのときはうがいしたり冷やしたりしてなんとか収めたのだが、帰宅し、自宅に「妊婦歯科検診」の受信票があるのを思いだし、翌日に吉祥寺東急デパート近くの歯医者にかかった。
歯医者さんでは、お父さんらしい院長と息子らしい副院長が治療にあたっていたが、私を担当したのは院長。たぶん60代。
吉祥寺のなかでは経験豊富な人気歯科らしい。が、そのお父さんは私の歯を見ているあいだ、なんと私にずっと説教したのである。
説教の内容はといえば、妊娠中は麻酔やレントゲンができないから、歯を全部治してから妊娠すべきだろう、そんな計画性のないことで妊娠して大丈夫なのか?という主旨。
私はといえば、口を開けた情けない格好をしながら、ああ、ああと相づちを打つしかできず。
なんというか、今どきこんな医者っているんだなーと思って聞いていた。ひと昔前はいたのだろう。
まあ、早くいえば余計なお世話、歯科医にしてみれば正論なんだろうが、妊娠を計画するから先に歯を治す人なんて、このご時世いるんだろうかね?
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そんなこんなで歯医者に行きたくなかったが、日に日に痛みは増すばかり。仕方なく行ってきた。
生涯でこんなに歯医者に行きたいと思ったことはない、という冗談でも言えそうなくらい、歯医者を欲していた。
会社のすぐ裏に歯科をみつけ、評判を調べたらなんだか良さそうだったので早速電話。
受付の方の応対もよく、妊娠中であることを伝えると明るく大丈夫といわれ、安心して向かう。
さて、いざ、椅子に座ってみると。
先生は女性だった。しかも小池都知事くらいののおばさま。
なんだろう、今まで女性の歯科医にかかったことがないからか? 一瞬、不安に駆られる。
でも不安に駆られた直後、逆に「何故不安なのか」がわからなくなり、自分に問いた。
今どき、女性がダンプを運転していてもおかしくないのにね。治療への不安を理由に下らない差別するのかなぁ私。
自分、まだまだだなあと反省し、歯痛の運命を小池都知事に任せることにした。
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結局、以前治した歯の銀歯が減り、そこから隙間にバイ菌が入ったというシナリオだったらしい。
年度末の突貫工事みたいな応急措置が行われ、レントゲンも麻酔もなしでとりあえず1回目は無事終了。妊娠中だからといって怒られることもなかったし、なかなか安心感のある素敵な先生だった。
先生は火花の散る金属切断とかの時に被る透明のフェイスガードみたいの、ずっとしてて、かっこよかった。
まだ仮の蓋がしてあるだけで痛みも取れていないんだけど、ここなら続けて通えそう。
以下 待合室にあった書籍、谷川俊太郎「質問箱」より、心に残ったところ。(抜粋ではありません、本文はもっと、リズムがあります)
Q 大昔の人はどんなことで笑っていたんでしょうか?
谷川 赤ちゃんが笑ったら、まわりの大人も笑ったと思います。それに、なんとかのミコトがワイセツな踊りをしたりして、大笑いしたのではないでしょうか。
Q 祖父祖母に優しくしたいのですが、「長生きしてね」「元気で過ごしてね」などこっぱずかしくて言えず、素っ気ない態度を取ってしまいます。どうしたら言えるようになりますか。
谷川 あなたは祖父母を愛しているようですね。それは言葉で伝わるものではなく、あなたの素振りすべてから伝わっています。それに、優しくするのがこっぱずかしいというのは大切な感覚です。
Q 子が「お母さんが死んだら悲しい」と大泣きします。そんなとき、どう声をかけていいかわかりません。
谷川 あなたはすべてを言葉で伝えようとしすぎていませんか。
そんなときは、子をぎゅっと抱き締めて一緒に大泣きし、そのあと一緒にお茶しましょう。