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フリーライターのブログ。三児の母。FWAフリーライター協会代表

ママ的タイムマネジメント ~ 子育てママの独立・フリーランスについて考える 2

世の中、非正規を正規社員にする動きが進むのと同時に、多様な働き方を推し進める政策が「ようやく」展開されようとしている。

 

1つの仕事でプロフェッショナルを極めるのもよいが、それと同時に何か別の知識やスキルを習得していくという姿勢はとても大切なことだと感じている。

そう思うのは、海外の方で思いもよらない二足のわらじを履いている方を数多く見てきたからかもしれない。

 

ある人は写真家であり、大学の先生であった。ある人は、ミュージシャンであり弁護士であった。そういったことを、いとも普通に(もちろん相当な努力の末の結果だとは思うが)やってのけるにはいったいどうすれば良いのだろうと、彼らを見ながら思っていた。

 誰にだって1日は24時間。人生として与えられている時間だって、そう変わるものではない。

 

1つの会社に属しながら、プライベートもままならないほどに残業をして、土日は疲れてろくに動けない、そういった人生は選択したくなかった。

そういう人生を否定しているのではない。実際に私の父は、私が物心ついたときから夕食の時間に間に合うように帰ってきたことなど一度もなかったし、ほとんどが終電かタクシーでの帰宅であった。週末は毎週のように付き合いゴルフでいなかった。そこまでしなければならなかった状況だったのだろうし、そうしてきたからこその地位というものもあるだろう。

 

だが、私は違う、そうならないと思っていた。欲張りな私には、やりたいことがたくさんあったからだ。しかもそんな二足のわらじを履いている人たちを数多く見てきて、どうにかして私も彼らように、パラレルなキャリアを積めないものかと悩んできた。

 

 

その考えは、母になっても変わらなかった。いや、むしろ強くなったかもしれない。

 

子育ての大変なところは、何かに腰をすえて取り組みにくいところだと思う。計画通りに何も進めさせてくれないリトルモンスターとの生活は、母一年生のころには本当に苦しく、事業を営んでいたが、常に「何も終わらず」、作業が終わらないことがストレスでしかなかった。

 

どうしてこう、すべてが思い通りにいかないのだろう。と。

「子供との毎日の過ごし方」という名の新しいタイムマネジメント術を修得するまでは、ノイローゼになりそうなほどに時間の使い方がわからず、仕事を進めるために子供を置いて店に出たこともあった。

 

ところが時が経つにつれ、「思ったより時間がないわけではない」ということに気がついた。少しだけ工夫をすれば、家でも外でも時間を作ることはできる。

実験は最初、授乳中のわずかな時間や、1時間程度の子供のお昼寝、電車での移動時間から始まった。

そういった時間をSNSやヒルナンデス鑑賞に費やすのをやめ、それ以前よりタスク管理に使っていたEVERNOTE をフル活用し、まずは店用のメニューの下書きを作ったりアイディアを書き留めたりすることから始めた。

 

気になる店の盛り付けの写真なども、とにかくEVERNOTE に放り込む。そうしていくと、店のスタッフとのミーティング用のメモを作ることもなく、EVERNOTEの画面を開くだけで済むようになった。

しかも作業は授乳中にスマホでもでき、もちろんPCでも、そして店にいるときは店のPCでもできる。

とにかく一ヶ所に情報を集約していくことを徹底し、時間があるときに効率的に見返すことができるようにした。

 

 

この癖を徹底してつけていくことで、私は自信がついてきた。この調子なら、二人目が生まれてもすきま時間で仕事をすることができるかもしれない。

しかも、愛すべき「大きなお荷物」であったお店が閉店するので、さらに時間ができる。

これはイケる。そう思い、お店の閉店まで2ヶ月という時期から、在宅でできる仕事を探し始めた。

 

当時はまさかライターとして十分なお金がいただけるなどと思っていない。ただ英語には多少の自信があったので「在宅 翻訳」でググるところからはじめた。indeedという求人サイトは非常に効率的に色々な媒体の求人が探せるので、画面に穴が開くほどの勢いで情報を探した。

そして、初日に見つけたのが、今もたくさん書かせてもらっているグルメライターの仕事だったのだ。海外のサイトの翻訳もありということで検索に引っ掛かってきてくれて、ありがとうとお礼を言いたいところだ。

 

実は他にも魅力的そうな仕事がいくつかあったので、いくつかのトライアルを受けた。

しかし、不十分なリサーチ力を理由に落とされたり、経験がないことを理由に落とされたり、返事が来なかったりした。

 

余談になるが、SNSなどで見かける大手キュレーションサイトのライター募集などが巷には溢れ返っている。しかし、これらの多くは小遣い稼ぎをしたいと思っているライター志望主婦が多いのを逆手にとり、到底最低賃金に及ばない劣悪な条件での募集がほとんどだ。

例えば、1000字の記事を書くのに下調べなどの時間を入れ、慣れてくれば1、2時間もあれば書けるだろうが、支払われる料金はたったの数百円だったりする。その上、到底さばききれない本数の依頼が一度にあり、多くの初心者主婦ライターがそこで自信をなくし潰れていくと聞く。

クラウドワークスやランサーズのようなサイトに掲載されている仕事オファーも、そういった激安単価のものも多い。また、主婦ライター自身のSNSフォロワーへの宣伝を狙いとしているサイトも多くある。皆さんどうか気を付けて。

 

 

さて。そちらの某グルメサイトで2つのテーマでの記事をトライアルとして執筆。合格し、思いがけずスムーズにライターデビューをしてしまった私。

だが、慣れないのもあり、最初は500文字の記事を1本納品した後も誤字脱字がないか心配で、納品後にも何度もチェックしたり、それが夢に出てくるほどだった。

次第に文章を書くことと自ら校正をすることに慣れてきて、仕事を始めた3か月後にはゼロ歳児のお世話をしながら月間で字数にして8万字から10万字という字数をこなせるようになっていた。

明らかに、すきま時間の活用という壮大な課題を克服し、自信がついた瞬間だった。

 

現在は、副業として派遣社員をしながら、このライター業を続けている。稼げる効率からすると圧倒的にライターのほうが上なのだが、案件が多い月と少ない月がある。そのため、ある程度のインカムベースを確保するために派遣社員も週5日、一日6時間程度で続けている(社保に入りたいのでこの時間で設定している)。

 

このダブルワークがかなり調子よく、社保には入れているために産休育休等は確保できる。しかも派遣先でも官公庁の案件の原稿を書かせてもらっており、こちらはライターの実績として加えることが可能だ。

唯一の誤算は、子供が風邪で休まなければならないときも家で仕事できる!と思っていたのが、こればかりはなかなか。子の看病と在宅業の両立は、難しい。

 

  

保育園に入れている間はしっかり子を見てくれるからよいけれど、小学校に入ったあとがどうやら問題らしいことは、まわりの友人たちの例を見ているとよくわかる。

我が家の場合は上の子が来年4月に小学生。学童には入れないといけないだろうが、それにしても今よりも色々とケアが必要そうだ。それまでになんとか、在宅ワークを6割くらいのバランスで生活を維持していくことができるように、妊婦の現在だがライター仕事を増やすための営業活動をしている。

 

女性たちがフリーランスや兼業を普通にできるようになれば、日本は変わると前回書いた。

ありがたいことに(まあ労働に係る問題を解決するのは必須なのだが)これが可能な方向に国は動いていて、流れが変わってきている。

 

私にはフリーランスは無理、と思う方もいるだろう。

でも、実は、そんなことはないかもしれない。あなたが扉を開けてみていないだけではないだろうか。いきなり全開にする必要はない。扉を1センチだけ開けて、向こうの世界を覗いてみたらよいと思う。

 

毎日同じオフィスのなかで煮詰まった頭を抱え、どんより疲れ保育園にお迎えにいくより、週に1日は早く上がって違う仕事をし、気分転換をしてみる。ときにはその時間、仕事はやめてヨガにいってみる。たまには1日、在宅仕事にしてみる。

あるいは月に一度、フリーで働いている友人と平日ランチに行き、軽くワインでも飲みながら情報交換してみる。そんな些細な行動で、心は潤い余裕が出るものだ。

 

私にはボーナスはない。でも、有給はある。

正社員のような安定した給与はない。でも増減はするが収入はある。

正社員のような安定した雇用ではないが、そのかわり、どの扉も開けられる自由がある。

必要なときに、子供に寄り添ってあげられる自由もある。

そして、今後の人生、どこへいっても食べていけるスキルを、今、磨いている。

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次回は、フリーランスや独立を志す方への心構えを書きたいと思います。

 

<参考までに>

文系の総合職としてキャリアを積んできた女性たちがフリーランスとして働くのをサポートする会社があります。

この会社のやっていることはとても興味深く、今の時代にあっていると思っているところ。

他にも業務委託として仕事を斡旋している会社は色々あるようですが、ここのやり方はハイクオリティ。

私も、ライター業務がないか、実はちょこちょこチェックしています。

http://waris.co.jp

 


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